豆腐の個性を決める「にがり」とは?種類と違いを考える
大阪の豆腐店を食べ歩いたり、にがりを扱う商社を訪ねたり、豆腐工場で約2ヶ月修行させてもらったりする中で、いちばん記憶に残っているのが「にがり」の話だ。同じ大豆を使っても、にがりが違うだけで豆腐の表情はまったく変わる。今回はその「にがり」について考えてみたい。

にがりとは何か?種類によって何が変わるのか
結論から言うと、豆腐の味わいを大きく左右しているのは大豆そのものだけでなく「にがり(凝固剤)」の種類だ。にがりの主成分は海水由来の塩化マグネシウムで、科学的に精製されたものから、昔ながらの製法で鍋で煮詰められた天然にがりまで、いくつかの種類がある。精製されたにがりはすっきりとした後味になりやすく、天然にがりは海のミネラルが複雑に絡み合い、大豆の甘みや旨みをぎゅっと閉じ込めた濃厚な味わいになりやすいと言われている。
豆腐工場での修行で気づいた、こだわりの正体
豆腐工場で約2ヶ月現場に入らせてもらったとき、職人さんたちがにがりを打つ瞬間の緊張感に驚いた。同じ配合でも、その日の気温や大豆の状態によって、ほんの少しさじ加減を変える。にがりを扱う商社まで訪ねて話を聞いたときも、「うちのにがりはここが違う」という誇りを持った説明を何度も聞いた。国産大豆へのこだわりについては以前「大豆自給率7%」の国で、豆腐ブランドをつくるということという記事でも書いたが、豆腐の個性は大豆だけでなく、にがりという「脇役」の選び方にも宿っているのだと、現場を回るほどに実感した。
豆腐ブランドを考えるうえで大事にしたい視点
自分自身がいつか豆腐ブランドを立ち上げるとしたら、大豆の産地だけでなく、にがりの選び方まで含めて「なぜこの味なのか」を説明できるようにしておきたい。原材料表示のわずか数文字の裏に、こういう職人の判断や誇りが積み重なっていることを、食べる人にどう伝えていくか。そこにブランドの物語が生まれる気がしている。
効率だけを追えば近道はいくらでもあるはずだけど、そういう小さなこだわりの積み重ねを、真剣に、でも肩の力は抜いて、緩く楽しみながら見つけていきたい。
まとめ
- 豆腐の味わいは大豆だけでなく「にがり」の種類によっても大きく変わる
- 精製にがりはすっきり、天然にがりは複雑で濃厚な味わいになりやすい
- 豆腐ブランドづくりでは、にがりの選び方まで含めた「物語」を伝えることが大事